狂った果実

前夜。

*石原裕次郎主演、石原慎太郎原作脚本の映画です。石原裕次郎と言えば「太陽の季節」で衝撃的なデビューをし、おじさんおばさん(語弊含)に熱狂的に支持されている銀幕スターですが、一部で大変支持されているこの作品はちょっと異彩を放っています。

*かのフランソワ・トリュフォーが絶賛し、ゴダールが「勝手にしやがれ」の撮影前に何度と無く見返し、ヌーヴェルヴァーグ一派に多大な影響を与えたと言われております。物語の合間に垣間見える斬新な手法を体系的に見るとヌーヴェルヴァーグ前夜と言える作品だと思います。

*日本語の早口言葉、斬新なカット割り、恣意的な映像、17日間の期間(撮影3日だったような)、無軌道な青春、などを上手く盛り込んだ作品です。56年発表ですが以前見た54年に発表されたとある有名な作品と比較してみても全く違う描き方で「なぁるほどなぁ~」と感心した覚えがあります。例えば市民ケーン前後のように明らかにこの50年代中盤から映画表現の軌道が変わった感覚に陥ります。物語の最後も衝撃的ですがやっぱり「裕次郎映画」という部分は強いですので、気になったら見てみるのも良いかもしれません。



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未知なる独断と偏見を

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